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 2024年3月号 No.395


神奈川ギターフェスティバル(3月1日更新)

春休み恒例の神奈川ギター協会主催「神奈川ギターフェスティバル」が今年も3月30日(土)に関内ホール小ホールで行われます。今年はコロナ禍の影響も少なくなり過去最多の出演者数で盛大なプログラムとなりました。横浜ギタースクールからは、YGSアンサンブル有志(稲葉紀美子、佐竹真弓、鈴木広子、高橋洋介、高濱順子、細谷雄二、、安宅寛高、渡邉史明、渡邉伊都子、)とソロで船見泰生さんが出演いたします。また15時前後には昨年度神奈川ギタリストオーディション合格者によるゲスト演奏も予定されています。ぜひお出掛けください。
⚫︎日時:3月30日(土)12:30開演
⚫︎会場:関内ホール小ホール

編集後記(3月1日更新)

 皆さんはクラシックギターの音色の良し悪しの判断に自信がありますか?と、唐突に聞かれても答えられないと思うので2つに分けて、1つ目は「弾き方の違いで変わる音色の優劣」2つ目は「楽器による音色の優劣」としましょう。前者をもう少し説明すると「右手のフォーム」「爪の形や磨き方」「弾弦の方向、速度など」の違いで変わる音色の優劣を自分で判断できるかどうか?ということです。レッスンの時に少し右手のフォームを修正したり、爪を磨いてもらったりしただけで音色が見違えるように変わった経験をした方も多いと思います。しかしその時は「やった〜、すごい良い音色に変わった!」となっても、翌日になったら「あれ、こんな音だった?」とガックリきたりします。またそもそも良い音色の好みが違ったりクラシックギター的な音色の良さがまだわかっていない場合もあります。僕の個人的な経験でいうと、クラシックギターを習い始めて数年間は良い音色というのが全くわからず、先生がこういう音が良い音でしょ、と見本で弾いてくれてもそれほど良い音色とは感じませんでした。今にして思うと当時はエレキギターやフォークギターばかり聴いていたので、先生のクラシックギター的な格調高い音より、僕が出しているような線が細くて芯のない音の方がポピュラー的な音色に近くて良いと感じてしまったのです。このように音色の好みや感じ方は人それぞれで良いのですが、多くの人にとって綺麗な音、良く響く音の共通項はあると思います。ではどのようにテクニックを改善していけばそのような音が出せるのか、という肝心なところはここでは書きません、というよりとてもここで書き切れるような簡単なことではないことは皆さんならご承知だと思います。大切なことは「自分の出す音を良く聴く」ことです。「ギターを弾いてるんだからもちろん音は聴いてます!」というかもしれませんが、間違った音を出してないか、が聞こえているだけで音色のニュアンスまで聴いていない方が多いと感じています。「譜面を見て指を動かすだけで精一杯で音色まで気が回らない」という気持ちもよくわかりますが、ぜひ少しずつ音色を意識できるにしてください。次に2つ目になりますが「楽器による音色の違い」です。こちらも難しい問題です。僕も若い頃は「これはスペインの超銘器○○作、しかも○○年製作のすごいギター、○○百万円だよ!」というような楽器を試奏させてもらっても内心「へー、よくわかんないわ」という感じでした。もちろんギターの良し悪しは音色だけではなく、音量、バランス、音の分離、弾きやすさ、製作者、材料、デザインなど多くの要素があって総合的に評価されると思いますが、音色についてが最も繊細で表現する言葉も独特で人それぞれです。「明るい、暗い」「太い、細い」「硬い、柔らかい」「締まった」「枯れた、若い」「透明感のある」「木の温もり」「プラスチック的」などなどキリがありません。僕のメインギターは「ホセ・ルイス・ロマニリョス 1977年 (松・ローズ)」で20年以上前に購入しましたが、この時のエピソードを紹介したいと思います。当時僕が所有していたギターは世界3大銘器のひとつ「I.フレタ1964年 (松・ハカランダ)」サブギターはアメリカの「E.サリーン」でした。フレタは当然素晴らしい楽器なのですが例えると「超頑固な人間国宝の職人」みたいなギターで弾き手の実力が伴わないと舐められてしまい本気の音を出してくれません。それに対してサリーンは真逆で、弾き手に優しく当時指の故障に悩まされていた僕にはぴったりのギターだったですが、音色に格調、深みがなく単調なところに不満がありました。そこで思い切ってフレタを下取りにして、弾きやすさも兼ね備えた銘器を手に入れようと考えたのでした。第1候補は当時D.ラッセルが使い始めて大人気になっていたドイツのM.ダマンという楽器でした。しばらくしてダマンが入荷したという連絡を受け嬉々として楽器店に行き早速試奏をしました。しかしその時にたまたま比較のつもりで弾かせてもらったロマニリョスの方に一目惚れ、結局長い付き合いの店主に特別にお願いして2台とも一週間程度自宅に持ち帰らせてもらうことにしました。そして数日後、スタッフ、ベテラン生徒たちに集まってもらい、今回お借りした銘器を含めてブラインドテストを行うことにしました。試奏楽器は、フレタ、サリーン、ロマニリョス、ダマン、国産手工楽器、と金額にすると小さな家なら買えてしまうレベルの顔ぶれ。あともう1台はネタで3万円の練習ギターを加えてみました。さて結果は?ジャカジャーン!高価な名器に人気が集中するかと思いきや、何とほとんどバラバラ。超ベテランの上級者Aさんなどは3万円のギターに最高点をつけてしまい結果を聞いてガックリ笑。このエピソードからもギターの音色判断は難しいということが想像できると思います。ひとつ言えることは上を知らなければ下を語ることはできないということです。僕は食べたことないですが日頃から大間のマグロを食べ慣れている人は、これは近海の本マグロ、これはどこどこの冷凍マグロ、などと中間のレベルがわかりますが、スーパーのキハダマグロしか食べたことがない人には、それ以上のものは全て「いつものよりは美味しいマグロ」としか評価出来ない、というようなイメージでしょうか。ぜひ奥深いギターの音色の世界も知っていただければと思います。初競りの大間のマグロ1本よりは全然お安く手に入ります笑。ということで「今月の1枚」は僕の所有していたイグナシオ・フレタ1964年です。(ほりい)

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